めちゃめちゃローカルな話です。広島県の公立高校入試には「自己表現」があります。5教科の学力検査に加えて、自分のことを自分で表現して伝える、という時間です。
そして、この制度が始まった初年度に、うちの子の受験が当たってしまいました。
前例なし。先輩の話も聞けない。塾にも学校にも「こうすれば大丈夫」という模範解答がない。「自己表現って、何をすればいいの?」というところから親子で手探りでした。結果から言うと、志望校に合格できました。
同じように「情報が出てこない」と困っている親御さんに向けて、うちの子が実際にやったことだけを書きます。よそで読める一般論は入れません。
※制度の内容・配点・実施方法は年度によって変わります。必ず広島県教育委員会や志望校の最新の募集要項でご確認ください。この記事はあくまで「うちの場合」です。
一番困ったのは「何でもいい」と言われたこと
自己表現は、自分のことを面接官に伝えるプレゼンのようなものです。絵を描いてもいい、歌ってもいい、踊ってもいい——と言われます。
この「何でもいい」が、一番きついんです。
従来の面接なら「志望動機を200字で」のように枠があります。でも自己表現は枠そのものを自分で作らないといけない。中学生に「自由に自分を表現してください」と言うのは、実はものすごく難しい注文だと思います。しかも初年度なので、上手くいった例も失敗例も存在しませんでした。
うちの子が選んだテーマは「苦手だったピアノ」
テーマ選びは本人に任せました。選んだのは、習い事のピアノでした。
正直、意外でした。というのもうちのピアノは、成功した習い事ではないからです。別の記事で、わたし自身がこう書いています。
△ 後悔かも…:ピアノ(月謝8,000円)。うちの子はほとんど練習をせず、全く上達しませんでした……。家の片隅では電子ピアノが幅をきかせています。
本人にとっても、ピアノは最後まで苦手なままでした。
ただ、一度だけ。この子がピアノにものすごく打ち込んだ時期があります。中学の合唱祭の伴奏です。あのときだけは、本当によく練習していました。
上達したかどうかで言えば、うちのピアノは失敗です。月謝の元は取れていません。でも「頑張ったこと」で言えば、この子にはちゃんと語れる経験がありました。
ここが、自己表現でいちばん大事なところだと思います。
テーマは「得意なこと」でなくていい。「頑張ったこと」でいい。
賞を取ったとか、大会で結果を出したとか、そういう分かりやすい実績はうちにはありませんでした。それでも通用しました。問われているのは実績の大きさではなく、自分の言葉で語れるかどうかのほうなんだと思います。
「うちの子には何もアピールすることがない」と思っている親御さん。たぶん、ありますよ。うまくいかなかったことの中にも、本人が一度は本気になった瞬間が混じっているはずです。
わが家の3人の習い事(水泳・ピアノ・ダンス)の顛末は子どもの習い事は何歳から?費用・選び方と、3人育てた母の本音に正直に書いています。月謝の元が取れたかどうかで言えば、いまでもピアノは「後悔かも」の側です。それでも、こういう形で返ってくることがあるんだと思いました。
スケッチブック作戦——うちの子がやった方法
ここが、この記事で一番伝えたいところです。
うちの子はスケッチブックを1冊用意して、パワーポイントのスライドのように使いました。1ページに話す要点を大きく書いて、話しながらめくっていく方式です。
工夫していたのはこのあたりでした。
- 文章ではなく「要点」だけを書く。原稿を全文書くと読み上げになってしまうので、キーワードだけ
- 写真を貼る。言葉で説明するより一目で伝わります
- 引っ張ると吹き出しが出てくる仕掛けを作る。紙を仕込んでおいて、話の途中で引き出す。手が動くぶん、間が持ちます
この方法のよかったところは、原稿を暗記しなくてよかったことです。
暗記は一番危ない準備だと思います。緊張して一か所飛んだら、そこから全部止まってしまう。スケッチブックなら、次のページをめくれば「次に何を話すか」が目に入るので、詰まっても戻ってこられます。
そして、聞く側にとっても分かりやすい。言葉だけを浴びせられるより、見せながら話してもらったほうが伝わります。中学生が数分間しゃべるのを聞く面接官の立場で考えると、これは大きいはずです。
特別な道具はいりません。スケッチブックと、写真と、のりとテープだけです。
親は、ほぼ何もしませんでした
これは書いておきたいところです。うちは、テーマ決めも構成も資料作りも、ほぼ本人に任せました。
手を出したくなる気持ちはよく分かります。前例のない試験で、しかも受験の合否がかかっている。親が構成を考えて、原稿を直して、練習させたほうが「うまく」なるのは確かだと思います。
ただ、名前のとおり「自己表現」です。親が整えた言葉を子どもが暗記して話しても、それは自己表現になりません。しかも面接官は、中学生の話を何十人分も聞いているはずです。本人の言葉かどうかは、たぶん伝わります。
親がやったのは、スケッチブックを買ってきたことと、写真を印刷したことくらいでした。
準備は、そんなに早くなくていい
うちがやった流れをざっくり書いておきます。何ヶ月も前から仕込むようなものではありませんでした。
- テーマを決める。「話せること」を出すだけ。得意なことである必要はありません
- 話す順番を決める。なぜそれを選んだか → 具体的なエピソード → そこから何を思ったか、の3つで足ります
- スケッチブックを作る。1ページに1つの要点。写真や仕掛けはこの段階で
- 家で通しでやってみる。時間を計るのと、めくる練習。ここが一番大事でした
最後の「家で通してみる」だけは、やっておいてよかったです。スケッチブックは、めくる練習が要ります。話しながらページをめくるのは思ったより手間取りますし、仕掛けを引っ張るタイミングも本番で初めてやるとうまくいきません。内容より、まず「めくれるか」でした。
よくある不安
Q. 絵や歌が得意じゃないとダメですか?
A. うちの子は何も披露していません。スケッチブックを見せながら話しただけです。「絵をかいてもいい、歌ってもいい」は選択肢の例であって、必須ではありませんでした。
Q. 資料は絶対に作らないといけない?
A. 手ぶらで話す子もいると思います。ただ、うちが作ってよかったと感じた理由は見栄えではなく、原稿を暗記しなくて済むことでした。緊張で頭が真っ白になったときの保険としておすすめです。
Q. 塾で対策してもらえますか?
A. 初年度は模範解答そのものが存在しなかったので、うちは塾をあてにできませんでした。導入から年数が経った今は、蓄積された情報があるはずです。中学校の先生に相談するのも早いと思います。
Q. 親はどこまで手伝っていいんでしょうか?
A. うちはほぼ任せました。手伝うなら、内容を直すより「聞き役になる」ほうがいいと思います。通しでやらせて、時間だけ計ってあげる。それで十分でした。
結果と、いま思うこと
うちの子は志望校に合格しました。
もちろん、合否は学力検査も含めた総合的なものです。自己表現だけで決まるわけではありませんし、「スケッチブックにすれば受かる」という話でもありません。
それでも初年度に手探りでやった立場から言えるのは、特別な才能や実績がなくても大丈夫だったということです。うちの子が用意したのはスケッチブック1冊で、テーマは習い事のピアノでした。それで成立しました。
いま振り返ると、自己表現は「うまくやる試験」というより、自分のことを人に伝える練習だったんだと思います。高校でも、そのあと働くようになってからも、ずっと使うことになる力です。前例がなくて不安だらけでしたが、やらせてよかったと思っています。
これから受ける方へ。情報が少なくて不安だと思いますが、大げさな準備はいりません。お子さんが自分の言葉で話せるテーマを一つ選んで、それを見せながら話せる形にする。うちはそれだけでした。
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最後まで読んでくれてありがとうございます。応援しています!


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