「年収の壁」——パートで働く主婦なら、一度は気にしたことがある言葉だと思います。
わたしは、この壁の内側と外側の両方を経験しました。子どもが小さいうちは扶養の範囲に収まるよう調整して働き、子どもが大きくなってからは、壁を超えて働くことを選びました。
この記事では、制度の仕組みをざっくり整理したうえで、「なぜ抑えていたのか」「なぜ超えると決めたのか」という、わが家のリアルな判断を書きます。今まさに「働く時間を増やすべきか」で迷っている方の参考になれば。
※制度の金額や条件は改正が続いています。実際の判断の前に、必ず国税庁・日本年金機構などの公式情報か、勤務先・お住まいの年金事務所でご確認ください。
そもそも「年収の壁」は2種類ある
ここを混同すると話がややこしくなります。壁には性質の違う2種類があります。
| 内容 | 影響 | |
|---|---|---|
| 税金の壁 | 所得税・住民税がかかり始めるライン。配偶者控除・配偶者特別控除にも関わる | 影響は比較的ゆるやか。少し超えても手取りが激減はしない |
| 社会保険の壁 | 扶養から外れて、自分で社会保険料を払うラインを超えるかどうか | 影響が大きい。超えた直後は手取りが減ることがある |
よく言われる「働き損」は、主に社会保険の壁の話です。ここを超えた直後は、保険料の負担で手取りが一時的に下がる場合があります。逆に言えば、税金の壁は恐れすぎなくていい、ということでもあります。
【前半】子どもが小さいうちは、扶養内に抑えていました
子どもが小さかった頃のわたしは、扶養の範囲内で働いていました。年末が近づくと勤務時間を調整して、収まるようにする——よくあるパターンです。
今振り返っても、あの選択は正しかったと思っています。理由はお金だけではありませんでした。
- 子どもの発熱でしょっちゅう休むことになる。フルタイムで働ける状態ではありませんでした
- 保育園や学校の行事、送り迎え。時間の自由がきくことに、お金以上の価値がありました
- 手取りの逆転が怖かった。「働く時間を増やしたのに手取りが減る」という話を聞くと、わざわざ超える理由が見つかりませんでした
この時期に「もっと稼がなきゃ」と焦る必要はないと思います。子どもが小さい時期は、時間そのものが価値です。
【転機】子どもが大きくなり、教育費が「現実」になった
状況が変わったのは、子どもたちが成長してからです。
手がかからなくなった一方で、待っていたのは教育費のかかりどきでした。わが家は3人の子どもがいて、上の子の大学受験では塾代だけで55万円、受験料で40万円が飛んでいきました(その記録は大学受験にいくらかかる?塾・受験料・宿代の実額に書いています)。
扶養内の収入では、どう計算しても足りない。「このままではいけない」——そう思ったのが、壁を超える決断のきっかけでした。
【後半】壁を超えると決めて、働き方を変えました
40代後半で転職活動を始め、今はフルタイムに近い働き方をしています。壁を超えると決めたときに考えたのは、この3つでした。
① 中途半端に超えるのが一番損
社会保険の壁を少し超えただけだと、保険料の負担で手取りがほとんど増えない「谷」に入ります。超えるなら、その谷を抜けるところまで働く。「ちょっとだけ増やす」が一番もったいない、というのが実感です。
② 目先の手取りだけで判断しない
社会保険に自分で加入するということは、将来もらえる年金が増える、傷病手当金などの保障がつくということでもあります。今年の手取りだけを見ると損に見えても、長い目で見れば話は変わります。
③ 「時給を上げる」という選択肢もある
働く時間を増やすだけが方法ではありません。わたしは転職で時給を200円上げました(1,050円→1,250円)。同じ時間でも収入は増やせます。その方法はパート主婦が転職で時給を200円上げた5つのコツにまとめました。
超えてみて、実際どうだったか
正直に言うと、社会保険料が引かれる明細を初めて見たときは「うっ」となりました(笑)。でも、それ以上に大きかったのは「調整しなくていい」という解放感です。
年末に「あと何時間まで働けるか」と計算する必要がなくなり、頼まれた仕事を断らなくてよくなりました。働き方の自由度が上がったことは、金額以上の価値がありました。
判断の目安:あなたはどちらのフェーズ?
| 状況 | おすすめの方向 |
|---|---|
| 子どもが小さい・急な休みが多い | 扶養内で無理なく。時間の余裕を優先していい時期 |
| 子どもの手が離れてきた | 働き方の見直しどき。まず時給・条件の相場を調べる |
| 教育費のピークが見えてきた | 壁を超えることを具体的に検討。超えるなら谷を抜けるところまで |
まとめ
- 壁には「税金の壁」と「社会保険の壁」がある。怖いのは主に後者
- 子どもが小さいうちは扶養内でいい。時間そのものが価値です
- 超えると決めたら中途半端にしない。谷を抜けるところまで働く
- 時間を増やすだけでなく「時給を上げる」道もある
- 金額や条件は改正が続いています。判断前に必ず公式情報で確認を
わたし自身、壁の内側にいた時期を後悔していません。そして今、壁を超えたことも後悔していません。大事なのは「今の自分の家庭にとってどちらが合っているか」だけだと思います。
40代後半で転職を決めるまでの話は40代後半のパート主婦が転職に成功した話に書いています。


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